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カウンターの向こう側~第10章(10杯目)~

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今回はお客様から見たカウンターの向こう側のお話です。
マスターの師匠は、マスターが修行時代にはほとんど何も言わない方でした。ですから仕事内容は見て覚えたそうです。
修行しだして3ヶ月ぐらいのこと。師匠が用事でちょっと遅れると電話がありました。
マスターは一人でお留守番。ドアが開き、年配の男性のお客様がひとりおみえになりました。
「マスターいないのか?そうか、じゃあジントニックをひとつ作ってくれ」
マスターは緊張しながら作りました。
「お待たせしました。ジントニックでございます」
お客様は一口飲まれて、「何だこれは、作り直せ!」としかりました。
マスターはなにがいけないのか分かりません。もう一度考えて作りなおすと
「うん、これだ。一杯目は炭酸が抜けてたぞ」
手順の悪さにトニックの気が抜けてしまったようでした。
マスターは今でもしかられたことに感謝しているそうです。
それからたくさんの技術や知識を学び、何年かして独立するときに、師匠から1枚のカードを渡されました。

「今までお店のためにがんばってくれてありがとう。感謝しています。お店を開くことを心からうれしく思います。修行時代の経験を生かして、素晴らしいお店になることを願っています。一杯一杯に真心を込めて」
マスターは知識や技術だけに頼りそうになると、開店からずっと壁に掛けてあるこのカードを見つめ直すそうです。
心に響く一杯が提供できたらいいなと、今日もお店に立っています。

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