プロローグ
ここのマスターは常日頃から「お店も生きものですから」 と言われております。
私の存在を感じでくれているんだなぁと うれしく思っています。
Barという場所では「カクテルブック」や「名酒事典」には書かれない、カウンターの向こう側におみえになるお客様の数だけドラマがあります。
マスターはお酒を提供しながら、ずっとカウンターに立ち、お客様を見守り続けています。
きっと、それがバーテンダーなのでしょう。~1話目(1杯目)~
最近は主婦の方でも働かれている方が多いようです。
安城でも女性が外で働く機会は増えています。
日本の歴史の中でも近年のそういった状況は素晴らしいことだと思います。
何年ほどか前に、ふらっとお一人の女性の方がおみえになりました。
それから毎週1度はおみえになって、ギネスビールをお飲みになって帰られます。
その女性は
「職場にいるときは主人の名字で呼ばれ、家に帰るとお母さん、奥さん。
1杯だけでも、短い時間でも自分自身の存在を取り戻す場所が欲しいから、内緒で飲みに来るんです」
と言われていました。
自分自身を取り戻す場所。
そんな風にBarを使われる方もおられるのですね。